「アポイントメント」は面会や会合の約束。
略して「アポ」や「アポイント」。
「待つ」という時間は1分でも3分でも、待つ側には長〜く感じる。
約束の10分前、遅くとも5分前には到着しておくべきだ。
予約時刻に遅れそうな場合には、その旨、早めにお伝えする。
お詫びしつつ遅れをお伝えすると、
こちらも気持ちが騒がず、慌てない。
さる重鎮には、ときおり訪問し、教えを請うた。
「済みませ〜ん! 予約もせずに上がり込んでしまって・・・」
と、つい馴れ馴れしくなってしまっていた。
「いや、いや。どうぞ、どうぞ。アポをとってから来て貰うと、逆にこちらが困るんだ」
と、笑いながら迎えてくださる。
「どうして困るのですか」と聞く。
「予約されると、その時刻まで自分が拘束されてしまうからだ」
と、なぐさめてくださった。
いや、そんなことはない。
やはり、予め先方のご都合を頂いておくべきだ。
ときにはアポもなく、こちらがそろそろ出発という寸前に、
「あ、居た、居た。ちょうど良かった!」
と言いつつ、部屋に入って来る方もおられる。
「ちょうど良かった」のはそちらで、
こちらは「非常に迷惑」というケースもある。
ひと頃、年始回りで各地の顧客を訪問させて頂いた。
「本年もどうぞよろしく」、
「昨年はお世話になりました」。
これを申しあげるためだけの訪問なら、お忙しい先さまは迷惑だ。
お正月には、大半の顧客が4月から始まる新年度の予算組み作業が佳境だ。
新しい年度の景気をどう見られたか。
予算化に重要な為替は、どう設定なさったか。
1円の上下は数億の為替差損・差益が発生する。
対ドルで、120円から90円と、為替が乱高下した時代、「社内レート、ドル103円」などと為替を設定され経営の舵取りをなさる。
(この文章の当時は、円が90円になったりした時代でした。)
設備投資のご計画は当方との取引に影響する。
新春の第一声で、トップはナニを言われたか、などについて、
差し支えない範囲で教えてくださる。
年始挨拶は、これらをお聞きするいい機会だ。
タイトルが「大誘拐」、「大脱走」と、「大」のつく映画がいくつもあった。
リュウさん通信、今日は
「大失態」
。
アポで大きな失態をした。
思い出すたびに後悔が募り、ここにはとても書けない。
失敗は重要顧客でのこと。
失敗というよりも、無礼千万。
お会い頂ける方は超大物。
その方には鹿児島で食事やゴルフもご一緒させて頂き、初対面ではない。
数回、ご本社を訪問させて頂いている。
その方が応接室へ来られるまで、
副社長さん、あるいは役員の方が雑談で我々をつないでくださる。
ご本人が部屋に現れると、
さっと役員の方々は起立され、面談が終わるまでごく当然のように直立不動。
こちらは座ったまま。
気の毒でもあり、緊張この上ない。
企業業績も好調、立ち居振る舞いも立派。
マナーや礼に厳しく、極めて温情豊かな方だった。
役員の方々はその方に、本心から敬意を表されておられるのだ。
・・・会って頂けなかった。
こちらが7〜8分も遅刻をしたからだ。
遠い鹿児島から来た。
多少遅れても、という甘えがこちらにあった。
しかも、遅れる連絡を差し上げていない。
携帯電話がなかった時代とはいえ、公衆電話はふんだんにあった。
ホームに降りて電話をする、
その時間分少しでも早く到着する方を選んでしまった。
「お越しになられなかったので、次の予定先に出かけてしまった」
とのことだった。
翌日、巡回途中で電話を差し上げ、
「もう一度お時間を」
と懇願した。
「そこまでされなくていいですよ。
既に昨日お越し頂いたのだから」
と、お優しい。
その後も親しくお相手頂けたのは救いだったが、
お会いするたびに思い出し赤面。
あの日その方は、重要かつ基本的なマナーを我々に教え、諭してくださった。

