
お顔が真っ赤だ。その方は猛烈に怒(いか)っておられた。 夫人が取り繕ってくださり、なんとか応接間へ通していただいた。 |

当社が受注し自分が担当。
お役所の、ある部署某課で定期刊行物を発行していた。
30年ほど前の、これは自分が駆け出し時代の古いお話。
今もその課があるかどうか知らない。
その課には正規職員のほか、同じ部屋に外郭団体的な別組織があり、発行業務はその団体に委託されていた。
外郭団体トップは金丸氏。そういう地図だった。
しかし自分の目には二つの組織に感じられず、皆さんが同じ立場に思えた。
原稿執筆や取材を正職員の方々もなさる。
一つの目的に力を合わせておられ、一体に思えた。
そう思えたのは、その部屋の「地理」や「歴史」に無頓着だったからだ。
外郭団体トップの金丸氏は、その課の課長から指揮命令を受ける。
氏にとっては息子か孫のような課長から、予算面や記事内容まで管理される。
それでも金丸氏は、完璧な定期発行に責任を持たされる。
ここだけのハナシ、その部屋の中では互いに発行主導権を争うような空気が淀んでいたようだ。

原稿一本に2、3回の校正が入る。最終チェックは金丸氏。 「誰が渕上印刷にとっての客なのか!」。 「オレが最後に目を通すと日頃から言ってあるじゃないか!」 |

どなたがキーマンなのかの地理。
どういう経緯でその団体が組成されたかの歴史。
予算執行権は誰なのかの地理。
何故金丸氏が一方のトップなのかの歴史。
営業マンの基本、客先の「地理」と「歴史」を知るべし。
言うは易し。
しかし、行うはなかなか険しい。

