スピーチ、その2「オヤジ・ギャグ」

大勢の前で話すのは難しい。
ほろ酔い加減で仲間と談笑するのとはワケが違う。
大スターだった越路吹雪、超ベテランの森繁久弥でさえ、
幕が開く寸前はすごく緊張する、と聞いた。
ときおり自分も人前で話す機会がある。

もちろん大いにアガる。

アガらない苦労や工夫をいろいろした。
割りといい方法は、予め原稿を準備しておくこと
さすがに棒読みはしないが、頼みの綱の原稿があるとアガらない。
原稿をコソコソ隠して話すと聴衆からは見苦しい。
堂々と原稿を使った方が自然だ。
原稿なしのマル暗記で臨むと、つい早口になってしまい、聞く側が落ち着かない。
早口になるのは、話す内容を忘れまいとする焦りがそうさせるようだ。
言うべきポイントまでを言い忘れてしまう。
それにしても、メモも原稿もなしに旨いお話をなさる方が居られるものだ。
政治家は本業だから旨いのは当然だが、一般の方でお上手だと尊敬してしまう。

就職志望の高校3年生300人を前に、話をさせられる羽目になった。
いつものように原稿を準備。
高校生の集団に話しかけたことはなかった。

自分には孫の世代。
若者言葉が分からない。
孫は居ない・・・★
それやこれや思い巡らすと緊張が募る。
当日が近づくに連れ、絶頂を極める。

アガらない方法はないものか・・・。

その日話すのは二人。
自分は二人目だった。
「皆さん、こんにちは。ご紹介を頂きました柳です。
まず最初にオジン・ギャグをやります。
面白くなくても、笑ってください。
そちら側で、ただ座っているだけのあなた方はアガりません。
皆さんに笑って頂くと、この壇上でアガっている私の気がほぐれるからです。

え〜、実は、こちらの学校から一ヵ月以上前に、ここでお話をするように言われていました。
今日のお話の準備をする時間が充分ありました。
ところが、ですね〜、先ほどまでお話しなさった○○さんが、私が言おうとしていたこと、私が一生懸命に準備してきたことを、ぜ〜んぶ話されてしまいました。
ですから私が今日、お話しすることは、ありません。
・・・終わります」。

こう言って一礼し、自分の席に戻った。

かろうじて場内は、ひとしきり笑ってくれた。
・・・再び壇上に戻り、本題に入った。
たったそれだけのことで、アガらずに導入部に入って行くことができた。
あとはもう、準備してきた原稿が助けてくれる。

遠来の講師は通常、真っ先に鹿児島と自分との縁や、鹿児島の良さを褒めるなど、ご当地ばなしをなさる。
これも講師が初対面の聴衆との距離を縮め、親近感を図っておられるのだろう。
中にはサービス精神が旺盛なのか、いきなり本題に入られる方も居られる。
これはこれで好感が持てる。
本題とは関係ないお世辞を言う時間の無駄を排し、講演料の効率化を図っておられる、と思えるからだ。

お話の旨い方は、笑いの採り入れ方が上手だ。
冒頭に笑わせられると聴衆は、講話者との距離がぐんと身近に感じ、話す内容に引き込まれ易いのではないか。
この手法を使ってみようと、会場到着直前までに思い当たった。
二人目だったことが幸いし、急に思いついた「オヤジ・ギャグ」、シナリオ作りの時間が得られた。

話した内容が与えられたテーマに副っていたのか、聞いてくれた高校生の参考になったのかどうかは心もとない。
あのオヤジ・ギャグが、一定の成果をみたことだけが印象に残った。


 
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新年会ご挨拶

リュウさん通信の発信をさぼっていたら、いつの間にか年が改まっていた。 辿ってみると最後が昨年10月だったから、随分と間が空いてしまった。ギャラなしとはいえ、さぼり過ぎだ!

年が改まっただけでなく、自分も社長から会長に改まった。 平成19年、今年初めての発信。なにはともあれ新年のご挨拶。 明けましておめでとうございます。

お正月には、さまざまな団体や職場で新年会が開かれる。鹿児島県印刷工業組合主催の「印刷年始会」は今年29回を迎え、各種新年会のピークが過ぎた12日に開催。213名の方々にお越し頂いた。 アトラクションには極力、子ども達を登場させたい。失敗や度胸づくりが出来る場を提供してあげたいと思っている。

配布するプログラムは、印刷業界団体主催らしく、デザインや印刷技術の紹介を兼ねたものにする。しかし、出費多端の折、今年は節約した。
主催者を代表してご挨拶をしなければならない。どんな内容にするか、毎度悩む。重苦しく厳しい状況とはいえ、新年会では話題を明るくしたいから悩む。

挨拶内容には一定のパターンがある。主催団体の今年の方針、その業界や団体特有の動向、干支に触れたおオハナシ・・・。
年始会に複数出席すると、既に聞いたことのある話題になったりもする。今年は次のような理事長挨拶をさせて頂いた。

「さて、新聞も含めた印刷物の利点、その一つは、いつでも何処でも、そして必要なだけ、読んだり観たり出来る点であります」。
紙媒体が、テレビやネットと違う利点だ。こうした内容に触れることは印刷団体の挨拶から外せない。

「皆さん、今年は思いっきり明るく、何ごとにも感謝、感謝で参りましょう。落ち込んだり、ものごとを暗く考えないで前向きに、有り難い、という気持ちで、この一年を送ってみようではありませんか」。
いざなぎ景気を期間で超える、好景気だと喧伝される。それらの数値は平均値であって、実は長引く不況が実感だ。

「地域や業種によっては57か月のいざなぎ景気を超え、70か月近い不況が続いております。 これも、有り難いと思ってみましょう。好景気という恵まれた境遇に居りますと、つい感謝を忘れ、マンネリや傲慢に陥りがちです。
この不況は、我々に『有益な試練』を与えているのかもしれません。苦しい中からこそ、勝ち残るための工夫や知恵が生まれる筈であります。
同業他社の、考えられないような安値受注が起きたとします。これも、有り難い、と考えてみましょう。一体、どういう合理化や経営改善をすれば、そういう価格が提示できるのか、と『分析』をしてみることも重要です。コストダウンのいいヒントが得られるかもしれません。

『売上げが少ない』となげく前に、『需要のない中、よくぞ我が社に発注くださった』と喜んでみようではありませんか。感謝しようではありませんか。
そう思うことで、そのお仕事を大事に大切に、心を込めて作り、感謝の気持ちでお納めすることになるでしょう。感謝する気持ちは態度に表れ、相手に、お客さまに、必ず伝わります。
『お前達の働きが悪いからだ』などと、自分の経営責任を転嫁するのではなく、社員の方々には『いつも頑張ってくれている。有り難いな〜』という言動が大事であります。
こうした中から、ほんとうの意味での『顧客本位』『社員満足』が生まれ、結果として事業所が潤い、勝ち残れる筈だ、と思う次第でございます」。

坊さんの法話のようになってしまった。一番言いたかったのは次のくだり。
「本日は、『感謝』ということをキーワードにさせて頂きました。
実は皆さん、この不況の中、規模の大小を問わず、業種を問わず、とても元気な企業、お客さまから絶大な支持を得ている、そして百年を超える会社がたくさんあります。
それらの企業に共通していること、それは、根底には必ず『感謝』というものがある、ということでございます。
この一年が、お集まりの皆々様にとりまして、輝かしく、そして感謝の年でありますよう、心からお祈り申しあげる次第でございます」。

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過去の印刷年始会プログラム表紙(いずれも、作:中西理恵)
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今年のオープニング・セレモニーは、鹿児島市立山下小学校器楽部の皆さんが演奏

 


 
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