会社説明会つづき。
「それでは一体、あなた方の自己実現のためには、どういう職場があるのか、ある資料から拾いだして表にしたものが、お手許のレジュメです。
大きく、中小企業、自由業と大企業・官公庁の三つに分けてあります。」
我が社は自由業でも、大企業や官公庁でもない中小企業・・・。
「そこに居られる人材の質は、圧倒的に大手企業・官公庁が優位です。優秀な人材が集まっています。
資金力や信用力ではどうかをみますと、これも大手・官公庁です。破綻したり、人事リストラの可能性は低いでしょう。
官僚的か、あるいは出世競争の激しさ、などをみますと、これは中小企業よりも大手企業や官公庁でその傾向が強いようです。職場に、大企業病や閉塞的な雰囲気があることを、この資料は言っているのでしょう。」
そうなのかもしれない・・・。
「自己実現度がどうかをみますと、これが今度は逆転します。大企業や官公庁で自己実現を追求することは至難なようです。
反面、中小企業の自己実現度は高い評点になっています。」
そっか〜・・・☆ 改めて中小企業の「特長」を見出した。
「ただし、中小企業なら何処であっても自己実現度が高いかと言うと、そうではありません。トップや上層部次第です。社内が輝いているか、社員を優先しているか、能力のない同族が上層部を独占する公私混同、分不相応なクルマやお付合いなどで見栄を張ってないか・・・、などなど中小企業そのものの質を見分ける必要があります。」
そう言うトップの自分は、どうなのさ・・・?
「レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウインスレット主演映画『タイタニック』。素晴らしい映画でしたね〜・・・☆
スペクタクルの豪華さ、ロマンや映像といい、映画そのものは素晴らしかったのですが、あの惨事は船主の見栄や、栄誉欲による『人災』です。
船長は人命を預かる重大な立場に置かれます。タイタニックの船長も立派な人格者でした。任務を全うし、もうじき退任という立場でした。船のオーナーが、『世界一早く大西洋を渡った記録を作れ。お前にとっても栄誉になる』と船長をそそのかします。船長は躊躇しつつも、結局は近道の危険な氷山の海に進路を変え、惨事を招いたのです。」
企業や団体のトップ・上層部は、人命や乗組員を守る「船長」だ。その上、船長は顧客や乗組員に快適さを提供しなければならない立場。
「乗客や乗組員・社員を優先しているか、見栄を張っていないか、という点でタイタニックの惨事は極端な例ですが、社員を優先しない企業で自己実現はないのです。 中小企業を選び、見分けるには、会社説明会にとどまらず、会社訪問もいい方法です。」
要するに、渕上印刷を見に来なさい、ということ・・・?
「戦後、高度成長時代の日本は工業化社会と言われ、その後、情報化社会と言われました。もう情報化社会とも言われなくなっています。
これからは知価(ちか)社会、なのだそうです。」
知価社会・・・、お、聞き慣れない言葉が出てきたぞ。
「知価とは、『人間の知識、知恵などをもとに生み出されるさまざまな価値』。そして知価社会は、『知価こそが、もっとも重要な生産資源として営まれる社会』だ、とのことです。「知価革命」(PHP研究所)で堺屋太一さんが提唱なさっています。
『知恵やデザインに対して価値を認め、それらに対価が支払われる社会』である、ということではないでしょうか。
我が社は、知価社会の一翼を担おうと努力を続けている企業です。」
・・・説明会でこう言って、学生達から理解や支持が得られただろうか。
リュウさん通信は今日もマジメだ。
3日に我が社の入社式があった。
1日が土曜のため、例年より式は遅れた。
目が輝く若者たちの入社を歓迎。
社内の先輩たちも毎年、心から歓迎し、温かく育んでくれている。
新入社員は今年も逸材揃いだ。
これから先、精神豊か、充実の日々を送って欲しい・・・☆
入社説明会
ところで、また今年も学生達の就職活動が佳境だ。
いまの若者たちはそれを「しゅうかつ」と言う。
渕上印刷も会社説明会を開く。
新入社員との、そも「馴れ初め」の場だ。
採用数は現社員数の2%ほどではあるが、新卒に限らず、人材確保は重要な経営テーマ。
説明会冒頭30分ほどの時間、率先して学生に語りかけるようにしている。
自分のあと、それぞれの担当が入れ替わり立代わって具体的な職務などを説明。
説明者は若手社員。
ああ言え、こうしろ、とは言わない。
稚拙な説明であっても、有りのままの当社が学生に伝われば、それはそれでいい。
学生に伝え、教えることで教える側も育てられる。
「いままでの4倍、これからの80年をどう生きるか、がいまのあなた方に課されています。要は、どう『自己実現』するのか、です」。
このことに持ち時間の8割を用いる。
就活にあたる学生達の目が、急に輝くような感じを受ける。
「自己実現には、いろいろな方法があります。
職業人として果たす道、司法書士や弁護士などの自由業も選択肢の一つでしょう」。
偉そうに言う自分が、この年頃に方向が定まっていたかどうか、かなり不如意。
「皆さんにとっての就活、さし当たっての目標は内定獲得でしょう。
しかし、内定を受けること、就職できたことが、人生の最終目的ではありません」。
これは、是非とも青少年に伝えてあげたいことだ。
「皆さんに今日ここで、どうしても申しあげておきたいこと、
それは就職と就社。
就職さえ出来ればどんな企業でもいい。
内定さえ貰えればどんな職種でもいい、
という姿勢は『職に就く』就職ではなく『会社に就く』就社で、それを就職とは言いません。
就社・・・、
これをゼッタイにしないで頂きたい。
自分に興味のある職種、合っていると思う職業を選んでください。
就社は長続きしません。
あなたに興味も関心もない職種だからです。
これをミスマッチと言います。
是非とも、確固とした自分の意志で職種を選択してください」。
これはダイジだ・・・!
他からの押し付けや不本意なことには人間、燃えない。
「では、どんな職業・職種を選ぶのか。
自分にはナニが合っているのか。
これは、ほんとうに難しいことです。
学生生活は、その答を得るための『自分探し』の時間でした。
卒業を前にして、それでも答が出ないかもしれません」。
自分の天職はナニか・・・、
永遠の課題だ。
「天から授かった職業を天職と言います。
しかし皆さん、天職などというものは存在しません。
あなたが気に入り、自分で選んだ職業を究めて行けば、天職になり得るのです。
自分にはナニが合っているのか。
ほかの会社説明会にも参加して比較検討、
自分で見つけ出すことも、いい方法です」。
百を超える職種内容が載る村上 龍の「13歳のハローワーク」も参考になる。

